平成12年12月定例会 討論   

1番(岡田耕一君) 私は、議案第143号豊田市手数料条例の一部を改正する条例について、賛成の立場から討論させていただきます。

 今回の改定では、基本的な考え方として、手数料事務にかかる事務処理原価を基本とし、料金改定を実施する。市民に直接的な影響の大きい総務手数料については、上限改定率を50パーセントとするとしています。総件数576件のうち引上げ件数が137件ではありますが、引下げ件数も27件、廃止も3件あり、原価計算をしての料金改定は大変評価できるところであります。今後も基本的な考え方を継続して見直しをしていただくように希望するところであります。

 また、住民票の閲覧や住民基本台帳の一部閲覧については、1世帯100円が1人150円と手数料は引き上げられておりますが、個人情報の保護という観点から考えますと、大抵閲覧される方は名簿業者等でありますので、手数料引上げは業者にとって利幅が少なくなり、大量閲覧防止、実質的な個人情報の流出防止策として市民にとっては大変結構なことだと思います。私の6月議会での一般質問でもお願いしましたが、後は運用面で閲覧の手数料だということを明確にしていただき、転記人数の料金徴収ではなく、あくまで閲覧した人数の料金徴収ができるよう要望し、議案第143号豊田市手数料条例の一部を改正する条例について、賛成討論といたします。

 続きまして、議案第185号、第186号財産の取得、豊田市美術館収蔵用美術品その1、その2について、合わせて反対の立場から討論させていただきます。

 まず始めに申し上げますが、私は豊田市美術館の作品収集のコンセプトであります現代、近代の日本及び世界の作品の収集ということについて否定するものではありませんし、地域の作家の発掘というコンセプトについても大変評価しているところであります。また、美術品購入方法を基金活用から一般会計へ移行検討がされた結果、今回初めて基金方式ではない財産の取得として議案上程されましたことは大変評価しております。

 ただ、今回、上程されております議案第185号の村上華岳作「牡丹花遊蝶之図」は、一つの作品で5,040万円であり、議案第186号、チャールズ・レニー・マッキントッシュ作の「キングズバラ・ガーデンズ14番地ミセス・ローワットのドローイング・ルームの椅子」ほか7点については、8点合わせ6,027万円と大変高価です。確かにクリムト作のオイゲニア・プリマフェージの肖像、188,275万円と比較すれば、非常に安く、今回の随意契約の取得価格も専門家に言わせれば大変お値打ちなのかもしれません。しかし、市民の多くが被害に遭われました東海豪雨災害や、豊田そごう閉店に伴う社員の解雇、再就職問題、長引く不況等を考えたとき、果たしてこうした絵画等を取得すべきかどうか考えてしまいます。

 本年3月の定例会での私の議案質疑の御答弁で「今、収集しているのは、私どもの世代だけではなく、次の世代にこれは受け継いでいくものであるということを認識し、収集というのはある意味で規模の軽重ではなく、我々はいつまでも努力を惜しんではならないものであるというような認識に立って取り組んでおります」と寺館長はおっしゃいましたが、同時に、「そのときの経済的な状況や、あるいは財政の状況といった外的な状況に合わせてそれらの規模が変わることになろうかと思います」とも言われております。今回、美術館収蔵用美術品取得の議案として上程されておりますのはこの2件ではありますが、取得価格が安価な議案上程されていない作品も含めますと、購入予定は全62点、税込みで総額2億9,9376,000円と大きなものになります。

 現在の豊田市を取り巻く環境は必ずしも順風ではなく、東海豪雨災害、豊田そごう閉店問題や、今回の手数料、公共料金の改定等市民負担増もお願いする中、こうした美術館収蔵用美術品の継続した取得については、一度再検討する時期に来ていると判断し、議案第185号、第186号の財産の取得については併せて反対させていただきます。

 次に、議案第197号名誉市民の推挙について、反対の立場から討論させていただきます。

 先日の議案質疑でもいろいろ御答弁いただきましたが、やはり納得できないのであります。私が開設しているホームページでの市民の皆さんへの提起や個別に御意見を伺ったところ、予想以上に多くの市民の皆さんが推挙に対して疑問を持っていることがわかりました。豊田市名誉市民条例の第2条を見ますと、公共の福祉増進、産業文化の発展に寄与して市民の敬仰を受け、本市に縁故の深い者又は市民生活の向上及び市の発展に貢献し、郷土の誇りとして市民の尊敬を受ける者について、市議会の決議を経て、豊田市名誉市民に推挙することができるとなっております。私たち議員は、市議会で議案として上程される以上、その判断を市民の代表として賛否を意思表示しなければなりません。名誉市民と言えば、文字どおり市民にとって名誉ある方を郷土の誇りとして表彰したいという自然発生的な純粋な気持ちから表彰されるものだと思います。しかし、前市長は、既に名誉市民になられておられる佐藤元市長、西山元市長の時代にもなかった法定数の実に6倍にあたる3万2,000人という数の署名が集められた住民投票を求める直接請求もされております。また、現在もまだ多くの市民の皆さんがスタジアム建設に快く思っていないことは御承知のとおりです。

 そう考えますと、市民合意なくして建設に踏み切った豊田スタジアム建設計画を推進されてこられました加藤前市長の名誉市民推挙にはいささか疑問を感じてしまいますし、市民の方々の総意とは考えられません。人間的には非常にすばらしい方でも、市長在任中の政策決定についても推挙するにあたり加味する必要があると感じます。

 また、前市長に限らず、市長、議員という政治家は、住民への奉仕を職務としており、公共の福祉増進、産業文化の発展に寄与するのは職務として当然であり、市民生活の向上及び市の発展に貢献できることを名誉であると感じているはずです。

 また、こうした功績・功労なる者は、政治家として当然の責務であるのではないでしょうか。当然の責務を果たしていることによって名誉市民として推挙されるということは、当然のことをしたと思っておられる前市長に対して失礼にあたると思いますし、私の持論として、政治家に対して名誉市民の推挙をすべきでないとの考え方により、加藤正一前市長の名誉市民推挙には賛成いたしかねます。

 続きまして、請願受理番号第4号乳幼児医療費無料制度の継続と拡充を求める請願書について、賛成の立場から討論させていただきます。

 3歳未満の乳幼児に対する医療助成費は、生活福祉課で確認しましたところ、11年度決算で約5億3,000万円となります。これを仮に6歳未満まで拡大した場合で単純計算しますと、あと約5億円の財源確保ができれば可能ということになります。中央公園推進室が2003年積算として試算されました豊田スタジアムの人件費を合わせた年間維持管理費は4億2,142万円です。そう考えますと、楽しみの目的のための施設管理費に巨額の市税を投じるスタジアム、現在の豊田市は、そうしたことと相反して市民の生命を守るという観点の乳幼児医療の問題の取組みには非常に消極的と言わざるを得ません。そろそろもっと真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか。

 県内では、音羽町では平成12年4月から就学未満児医療費助成制度を町独自の施策として実施しており、3歳から6歳に達した最初の3月31日までの期間にあたる方及び就学義務猶予免除者の方の医療費にかかる自己負担分を助成しております。また飛島村では、小学校卒業までに助成金の範囲を拡大しております。幸いにも愛知県では今年8月から導入した医療助成の一部負担制度を来年度だけはもとの無料化に戻すと言っています。しかし、平成14年度以降は不透明であります。

 「子供は未来である」とは、小林 登東大名誉教授の名言ですが、乳幼児医療助成は、その未来に対してみんなで守っていこうというのがこの制度ではないでしょうか。こうしたことからもこの請願であります乳幼児医療費無料制度の継続、現行3歳までを6歳までに拡充、乳幼児医療無料を国の制度として拡充、確立することを求める意見書を国に提出することについて賛成し、この本請願採択していただくことを祈念いたしまして、賛成の討論とさせていただきます。

 続きまして、請願受理番号5号放課後児童健全育成事業の充実を求める請願書について、賛成の立場から討論させていただきます。

 鈴木市長も施政方針で社会的な子育て支援機能の充実など行政的対応でカバーできる部分があると強調されておられます。本市における放課後児童健全育成事業は、平成10年度に12校の開設だったものが19校1施設と本年度は増設され、また、先程の湯浅議員のお話からすると、来年度3箇所増で調整中ということであります。しかしながら、まだまだ市民の皆様が納得できる対応ではございません。

 春日井市の少子化対策の施策「春日井げんきっ子プラン」では、学童保育の施策を平成8年より10年間で10箇所、公設委託のこどもの家建設をすると公言しています。平成10年度に2箇所、平成11年には1箇所建設し、本年度2箇所の建設をするのは当然ではあるが、民間の学童保育についても、公営施設と共存共栄していけるよう行政と民間が話し合い、確認しているそうであります。また、春日井市商工会議所が国の補助金により商工会議所内にこどもセンターを設置し、子供に関する情報提供する場所を設け、学童保育の情報提供をされておられます。少子化特別対策交付金を見ますと、民間学童保育所1箇所に30万円の交付がされているそうでございます。瀬戸市では、市民グループの学童保育連絡会が市が共催で新入児童の合同説明会を開催したり、定期的に指導員や行政担当者と保育問題等の話合いを進めているなど、市民ニーズを常に把握しようと懸命に努力されていることがうかがえます。岩倉市では、父母の労働実態に合わせ午後7時まで延長保育を実施している公立児童館もあります。安城市では、平成12年度予算に市の単独施策として民間学童保育所を利用する児童のための民間児童クラブ利用料補助金369万円が予算計上されました。この金額は児童1人あたり月額2,500円の補助ということになります。大府市では、市内全8小学校区にて開始されておりますし、土曜日や春休み、冬休みも一部開設されております。

 市役所は総合サービス産業であるという基本理念からしますと、市民が求める要求に対しどう満足していただくか、いかに早くローコストで対応していくかが課題であります。当然受益者負担の原則や費用対効果も考慮しなければなりませんし、20名以上の利用がないと補助金が出ない等の制約もございますが、少子化を迎える今日、子供を安心して産み、育てられる環境を中核市でもある本市が先頭に立って放課後児童健全育成事業の推進を図っていく責務があるのではないでしょうか。また、現在の利用者ニーズだけではなく、今後、子供を産み、育てようと考えておられる潜在的なニーズに対応するためにも一定の支出も認められるべきと考えます。

 完成間近のあの豊田スタジアムは、市の2003年度積算の試算では年間維持管理費は4億2,142万円発生いたします。これだけの支出ができる本市であれば、本請願に対応できるコスト負担は十分すぎるほど可能でございます。であるならば、本市がその気になりさえすれば、十分教育された指導員確保も可能であり、請願項目の段階的達成も可能であります。子供たちの社会性をはぐくむ教育の場、生活の場を提供するためにも、署名されました543名の方々の思いにこたえるためにも、また将来の働くお父さん、お母さん、そして子供たちのためにも、本請願を採択していただくことを祈念いたしまして、賛成の討論といたします。

 以上ですべての討論といたします。

           〔傍聴席で発言する者あり〕