平成13年3月定例会一般質問原稿

○議長(鈴木伸介君) 次に、1番、岡田議員。

○1番(岡田耕一君) 私は通告に従い豊田市における一般廃棄物行政について質問いたします。

 昨今の豊田市を取り巻く環境は、そごう撤退による中心市街地活性化対策、豊田スタジアムの35億円にものぼる巨額の建設費増額問題等、市制50周年という節目の祝賀的雰囲気を感じさせないほど緊急課題が山積しております。

 そして、新渡刈清掃工場建設問題もその一つであります。この新工場は、処理方式を熱分解ガス化溶融方式にするという方針が出されましたが、この方式決定に関する議論がまだまだ不十分に感じます。また、地元以外の市民への情報提供も不足しております。そこで、処理方法のみならず、脱焼却、脱埋立てを目指した豊田市独自のごみ減量化の検討を踏まえ、市民の廃棄物行政への積極的な参画を期待しながら、2項目の質問をさせていただきます。

 まず、1項目めの熱分解ガス化溶融炉導入における問題点について質問いたします。

 水曜日の部長答弁では、熱分解ガス化溶融炉の導入根拠として、ダイオキシン類の発生抑制やガス量が少なく、施設がコンパクトにできること、また、エネルギーを効率的に使えることなどが挙げられました。しかし、私なりに調査した結果、次のような問題点が浮かび上がってきました。

 @メーカーの実証試験は、連続30日を含む、たった100日だけの稼働実績で第三者機関の認証が取れてしまう。

 A実証炉からスケールアップしたときの安全性の不安と100トン以上の本格的な炉が稼働して、1年しかないという実績の少なさ。

 B万一事故が発生したときには事故処理がスムーズにできるかどうか。ドイツで起きた事故の教訓を日本メーカーは生かしていると言っておりますが、予想もできない事故が起きる可能性もないとは言えません。

 C現在は各プラントメーカーも損して得取れで、実績作りのため非常に安い建設費で落札しているようですが、ストーカ炉と比較して決して安くない建設費。

 D高温になるがゆえの有害重金属類の排出問題。

 Eメンテナンス費用等、高いランニングコスト。

 Fガス化溶融炉からできる溶融スラグの使い道。これは、路盤材等に使用すると言われる溶融スラグですが、建設業界で必要とされる路盤材は年間1,000万トンだそうです。現在は、年間3,700万トン発生している廃コンクリートの破砕物のうち約2、400万トンが路盤材や建設資材にリサイクルされていると言われています。つまり、路盤材は廃コンクリートで十分だということです。また、リサイクルされていない1、300万トンの廃コンクリートの使用先にも困っている状況を考えますと、スラグを路盤材等に使おうというのは非現実的ではないでしょうか。

 G溶融スラグに含まれる有害重金属類の溶出問題。国の溶出試験、環境庁告示第13号では、スラグをpH5.8〜6.3の水溶液に6時間混合することになっていますが、実際に国内ではpH3〜5レベルの酸性雨が降っており、全く無意味な試験と言わざるを得ません。

 先日、お邪魔した尾張東部衛生組合・晴丘センターの職員さんも「有害重金属類溶出については自信が持てません」と言われており、直接溶融炉の建設を進めている多治見市の職員のお話によれば、「現状の溶融試験には疑問を持っており、新清掃工場完成後のスラグについては、庁舎屋上にて長時間の溶出試験を実施する」とのことです。

 これらを考えますと、酸性雨の進行とともに10年後、20年後にどのような問題が発生するかわかりません。もし、溶融スラグを路盤材として使用し、後に危険性が明らかになったとき、だれが責任を取るのでしょうか。部長はじめ市の3役はもちろん、職員の皆さんもそのころには責任を取れる立場におられないでしょう。こうして考えますと、ガス化溶融炉の導入、溶融スラグの利用は慎重にならざるを得ません。

 ちなみに、アメリカでは、我が国よりはるかに厳しいpH2.88〜4.93という酸性度による溶出試験が義務付けられているそうです。

 そこで、私は新渡刈清掃工場のガス化溶融炉導入は慎重にすべきで、安全性と実績から職員が業務に十分熟知しているストーカ炉の導入と溶融施設の必要性を再検討すべきであるという考えから、以下の質問をさせていただきます。

 1点目、ダイオキシン類、有害重金属類、CO2の排出量は、現行のストーカ炉と比較して、どこまで優れているのか。

 2点目、まだまだ稼働実績の少ないガス化溶融炉方式の安全性、運転性と性能発注の契約によるメーカー保証の内容はどういったものになるのか。

 3点目、ガス化溶融炉にした場合の建設費等の初期投資額はどのぐらいになり、ストーカ炉と比較して有利なのかどうか。

 4点目、新清掃工場は25年間使用するとのことですが、ガス化溶融炉にした場合のランニングコストと耐久性は本当に優れているのかどうか。

 5点目、新清掃工場では、今後、何を焼却するつもりなのか。

 6点目、溶融スラグの利用方法はあるのか。また、将来にわたって安全と言えるのか。

 7点目、日本初のガス化溶融炉として八女西部クリーンセンターが稼動して約1年、多くの自治体職員、議員が視察に訪れ調査研究しております。また、豊橋市では14年稼動を目指しキルン式ガス化溶融炉が建設中であります。従来型のストーカ炉、流動床炉と比較し、余りに実績が少ないこのガス化溶融炉を先行導入した他の自治体において、安全性に不安が生じたとき、本市としてはどのように対応するのか、お聞かせください。

 8点目は、最終決定までに審議、調査の時間がどれだけ取れるかであります。部長答弁では、19年に稼動させるためには13年8月までに事業計画を作成、そのために年度内に方式を決定したいと言われましたが、議会としてもしっかり勉強し、従来型、次世代型の評価も含め審議しようという動きがございます。

 そこで、市民の協力で新工場稼動を20年以降にできるのではないかという観点から質問いたします。

 埼玉県川口市では、現在、平成14年12月しゅん工に向け朝日環境センターを140トン炉三つの流動床式ガス化溶融炉方式で建設しています。完成後、閉鎖される戸塚環境センターは昭和51年完成の150トン炉が2炉あり、完成されるころは満26歳。同じく完成すれば閉鎖される青木環境センターは、昭和39年完成の150トン炉が2炉。こちらは、満38歳になります。それでも200トン弱の処理能力はあり、頑張っているそうです。

 そして、新しく完成する朝日環境センターの処理能力は、閉鎖される二つの清掃工場を合わせた能力より低いそうです。これは、徹底したごみの減量化を前提にしているとのことです。

 これらを考えますと、渡刈清掃工場は平成19年の時点でも20年しかたっていません。たとえ藤岡プラントの処理能力が落ちたとしても、ごみの分別と減量化を徹底的に進めれば、渡刈清掃工場で十分対応できるのではないでしょうか。そして、ガス化溶融炉方式が従来型と言われるぐらいの安全性が確立されるまで現在の清掃工場で対応し、それからゴーサインを出す。万一、安全性に疑問があればストーカ炉方式を採用する。処理能力にしても減量化が進んだ段階のごみ量で新清掃工場を建設すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

 以上、8点についてお伺いいたします。

 続きまして、2項目めの今後のごみの排出量抑制計画について質問いたします。

 ただいま述べました新清掃工場建設問題は、市民の協力による徹底したごみの分別、減量化を進めることを前提として考えなければなりません。

 名古屋市では、市民も巻き込んだごみの減量化に取り組むため、昨年9月に、「市民が創るごみ減量先進都市なごや」をテーマに市政懇談会を実施し、様々な意見収集を実施されております。

 また、豊明市では、経済環境部環境課から伺った話によりますと、平成11年、12年度に市内約1,000世帯をモデルにして、生ごみの分別収集とたい肥テストを実施した結果、全世帯の生ごみの分別収集、たい肥化の実用化にめどをつけたそうであります。こうした事業は、市民の徹底した生ごみの分別意識が前提になりますが、本市の市民意識から考えれば、実現可能かと思われます。生ごみのたい肥化は、焼却施設への負担を軽減し、施設更新を延長できる効果も期待できます。ごみ減量化を推進せずに新清掃工場建設とは、豊明市民に笑われてしまいます。

 そこで、1点目、今後の市民も巻き込んだ可燃ごみの減量化、具体的な排出抑制策をどのように考え、いつごろ実施するのか。

 2点目、同じく埋めるごみの具体的な排出抑制策についてもお聞かせください。

 3点目、最後になりましたが、新清掃工場建設問題も含め、廃棄物行政全般に対する全市民への広報活動、公聴活動が欠けているように感じられます。今後の市民参画によるごみの減量化の取組みについての考えをお聞かせください。

 以上で質問を終了させていただきます。

○議長(鈴木伸介君) 加藤清掃部長。

○清掃部長(加藤一人君) 岡田議員の豊田市における一般廃棄物行政について、2項目にわたり御質問いただきました。順次お答えをいたします。

 まず始めに、1項目めの熱分解ガス化溶融炉導入における問題点についての1点目でありますダイオキシン類、有害重金属類、CO2の排出量についてお答えをいたします。

 熱分解ガス化溶融炉は、ダイオキシン類の発生がしにくいシステムとなっております。事実、現在、稼動している施設のダイオキシン類の排出濃度は、新設の基準値0.1ナノグラム以下であります。有害重金属類についても、稼動している施設の実測分析データを見てもすべて排出基準以下となっております。CO2でありますけども、直接溶融炉を除いて処理方式に差はなく、おおむねごみ1トンあたり2,442キログラムであります。

 2点目のガス化溶融炉方式の実績と運転性、安全性、メーカー保証と性能発注についてでありますが、熱分解ガス化溶融炉は現在、二つの施設が稼動しており、それぞれの施設で運転状況について安全性を確認いたしております。例えば停電等緊急時の対応は、非常用電源に自動的に切り替え、緊急操作を行った後、安全に停止するシステムが構築されております。性能保証については、実証炉試験の結果を確保するとともに、性能保証の特性に関するデータ等を収集し、その性能に対し十分な担保を取るよう発注仕様書を作成してまいりますとともに、施設が完成した場合にも所定の性能が確保されない限り、施設の引渡しには応じてまいりません。

 3点目の新清掃工場のイニシャルコストでありますが、イニシャルコストは施設ごとに幅があります。平成12年の国内の受注状況では、熱分解ガス化溶融炉については、トンあたり2,700万〜6,400万円、ストーカ炉プラス廃溶融炉につきましては、トンあたり4,800万〜7,200万円となっております。

 4点目の耐久性とランニングコストでありますが、新清掃工場は稼動後25年間を想定しています。熱分解ガス化溶融炉は処理行程の大部分をごみの自己エネルギーで賄え、運転人員も従来型に比べ少ないため、維持管理費は低くなると思われます。

 5点目の新清掃工場では何を焼却するのかでありますが、まず、燃えるごみ、埋めるごみを含め、いかにしてごみとして出さないかであります。そのためには、分別、排出抑制により一層努めた上で、どうしても焼却しなければならないものについて焼却をしてまいります。具体的には、資源化施設で資源を取り除いた後の可燃ごみと、現在は埋めるごみとして処理をしている硬質のプラスチック、粗大ごみの破砕残渣を焼却してまいります。

 6点目の溶融スラグの利用方法と安全性についてでありますが、溶融スラグは路盤材等に有効利用してまいります。溶融スラグの安全性につきましては、現在、スラグを利用している都市の実績では、土壌の環境基準を満足しております。

 7点目、他の自治体の状況をどう生かすかについてでありますが、現在、実際に稼動している実働炉はもとより、これからしゅん工予定の状況を参考に本市の計画に生かしてまいりたいと思っております。

 8点目の焼却方式の最終決定についてであります。一昨日の松井議員の質問に対して御答弁したように、施設の老朽化、将来のごみ量から新清掃工場は平成19年稼動が必要であるため、焼却方式は平成13年8月までに完成させなければならない環境アセスの準備書の事業計画に反映していく必要がありますので、よろしくお願いいたします。

 大きくは2項目め、今後のごみの排出量、発生抑制計画について。

 1点目、可燃ごみの排出抑制策、2点目の埋めるごみ排出抑制策は関連がありますので、一括お答えをさせていただきます。

 現在、実施している分別収集をはじめ古紙類の回収や生ごみ処理機の普及に努めるほか、今後の具体策としては、その他プラスチック、その他紙製容器包装の分別収集を市民の声を聞いて実施してまいりたい。

 そうした施策の充実に努める一方、排出された廃棄物の分別やリサイクルだけでは、ごみの減量に限界があるため、リサイクルしやすい商品の開発、過剰包装の廃止といった製造者、販売店等への働き掛けを行い、市民の方には、ごみとなるものは家庭に持ち込まない生活様式を身に付けていただくよう啓発に努めてまいります。

 埋めるごみでありますが、平成9年度から市民の皆さんの協力を得て、新たに始めました金属ごみと飲料缶の分別、さらに従来から実施していたガラス瓶の徹底した回収により埋めるごみが大幅に減少いたしました。このことは分別の大切さを証明するものであります。

 3点目、市民への広報活動とごみの減量化への参画についてであります。

 ごみを適正に処理するためには、市民の協力なくしては成り立ちません。一方、ごみの増減は市民一人ひとりの意識で大きく変動いたします。そのことが将来の焼却施設や最終処分場の建設に大きく影響することを地域の研修会や広報紙を利用し、市民に訴えていくとともに、ごみ減量に対する意識を高める努力をしてまいります。

 以上で答弁とさせていただきます。


○議長(鈴木伸介君) 1番、岡田議員。

○1番(岡田耕一君) ただいま多岐にわたり御答弁をいただきましたが、若干理解できない部分がございましたので、再度質問させていただきます。

 溶融スラグの安全性についてですが、現在は基準を満たしているからという御答弁でしたが、将来的に不安ではないかというところで申し上げたのでありまして、その辺について再度御答弁をよろしくお願いいたします。

 それから、こちらの財団法人廃棄物研究財団が発行しました2種類の廃棄物処理技術評価書を読んでみます。これがメーカーに出されたものなんですが、これを読んで見ますと、プラントの安全性、耐用年数とランニングコスト、ダイオキシン類の発生等の記載について、先程の部長答弁とは異なり、実証試験でさえ多くの問題が発生していることを伺わせる記載がございます。安全性については、実用施設での爆発の危険性を指摘しております。また、延べ100日を超える実証試験期間中多くのトラブルが発生し、実用レベルでないことも指摘しております。スケールアップについても、すべてに前提条件が付いており、それらをクリアできる保証はございません。ランニングコスト面では、常に補助燃料を使用していたということが記載されておりますし、耐久性、メンテナンス性についても、まだまだ実用レベルでないことを指摘しております。実際、私が話を伺ったメーカーの技術者は、いずれのメーカーの技術者も「耐用年数は15年前後だろう」と言われました。本当に25年もガス化溶融炉は持つのでしょうか。さらには、ダイオキシン類の濃度についても記載によりますと、「再合成を考慮し、適切な排ガス処理システムをこれから構築する必要がある」と述べられております。とするならば、ストーカ炉にバグフィルターを付ける従来型のストーカ炉とさほど変わらず、優位性が全く感じられないと思います。

 また、千葉県柏市では、ガス化溶融炉を採用しない理由として、技術審査委員会が「理論的には最も合理的な処理方法の一つであるが、実際のプラントでは稼働実績が少なく、スケールアップ後の安定稼働性の事前判断が非常に難しい」と述べております。「まさしくカタログの数値だけを信用しては危険ですよ」と言っておるのです。

 これらを踏まえ、溶融スラグの安全性と利用度について、さらにはプラントの安全性、耐用年数とランニングコスト、ダイオキシン類の発生について、本当にストーカ炉よりもガス化溶融炉の方が優れているのかということを再度質問させていただきます。

 以上、よろしくお願いいたします。

○議長(鈴木伸介君) 加藤清掃部長。

○清掃部長(加藤一人君) 溶融スラグの安全性でありますけども、私どもの方の集めました資料の中では、酸性pH3〜4、そういう条件のもとで大丈夫かというようなデータもいただきまして、有害物質は検出されてないということを確認しております。

 それから、プラントの安全性につきましては、検討委員会の中で専門家の方2名入っていただいて、十分検討しておりますので、安全性につきましても確実にとれると思っておりますので、よろしくお願いします。


○議長(鈴木伸介君) 1番、岡田議員。

○1番(岡田耕一君) ただいま私、4点ほど、細かく分けると6点ほどについて質問させていただきましたが、今、実際には2点ほどの御答弁しかいただいておりません。また、特に補足させていただきますと、ランニングコストの面では現在のストーカ炉では、ほとんど補助燃料は助燃という形で使っておらないということを伺っておりますが、そうした意味でいいますと、先程の評価書を見ますと、常に使っている、そういうことからしましても、ランニングコストでは非常に高くなってしまう。また、部長は「25年も使える」と言っておりますが、メーカーの技術者でさえ「15年しか持たないのではないか」、そういう御指摘もございます。その辺も踏まえて、今御答弁いただかなかった部分の再答弁よろしくお願いいたします。

○議長(鈴木伸介君) 加藤清掃部長。

○清掃部長(加藤一人君) 新しい炉については、ストーカ炉に比べて助燃が必要であるため、ランニングコストが多くかかるのではないかという御質問でありますけども、これはごみ質と大きく関係してまいります。高いエネルギーでごみを燃やせば、当然それだけの高いエネルギーが出ますし、低いエネルギーのごみを燃やすということになりますと、助燃が必要になってまいりますが、私どもの今の計画の中では、今のごみカロリー2,200を確保したい、あるいはそのエネルギーで燃やしてまいりたいと思っています。ですから、助燃については必要なかろうと判断しておりますけども、ただ、これからごみ質が変わってまいります。そうした場合にはごみ質が落ちた場合には、助燃も必要になってくるかなと思いますけども、今のところは助燃を使わない、できるだけ余分な燃料は使わない、そういう方向で検討をしております。

 それから、25年使用は大丈夫かということですけども、25年使用を一つの条件として、これから業者と契約の段階で確約をしていきたいと思っております。

 以上、答弁とさせていただきます。

○議長(鈴木伸介君) 以上で1番、岡田議員の質問を終わります。