9月定例会   討論原稿

○1番(岡田耕一) 私からも先程大村議員、中根議員からもありました請願受理番号第1号就学前までの医療無料化を求める請願書について、賛成の立場から討論させていただきます。

 3歳未満の乳幼児に対する医療補助費は、生活福祉課で確認しましたところ、12年度決算で約5億7,000万円でございました。これを仮に就学前まで確認した場合でおよそあと5億5,000万円の財源が確保できれば可能ということでした。豊田スタジアムも毎年管理運営赤字が4億円前後と想定されております。このような事業には積極的である豊田市も市民の生命を守るという観点の乳幼児医療の問題への取組みは非常に消極的と言わざるを得ません。どちらが大切かそろそろ真剣に考える時期に来ているのでないでしょうか。

 県内では音羽町で平成12年4月から就学未満児医療費助成制度を町独自の施策として実施しており、3歳から6歳までの方の医療費に係る自己負担分を助成しております。また、飛島村では、小学校卒業までに助成金の範囲を拡大しております。岡崎市や高浜市においても独自事業として上乗せ助成をしております。財政的に他の自治体に比べ非常に恵まれている豊田市においてできないはずがございません。

 先程中根議員からは、反対討論の中で、「子育て施策全体を見てと、現時点では賛同できない」という趣旨の意見がございましたが、先日の環境福祉委員会の中でも「医療福祉分野で総合的に検討していかなければならない」という趣旨の市長答弁もございました。このことは本請願は市民とのパートナーシップをうたう鈴木市長の思いと同じだと私は解釈いたしました。

 そこで、本請願であります乳幼児医療費無料化の年齢を就学前までに拡大することに賛成し、多くの議員の皆さんの賛同を得、本請願を採択していただくことを祈念いたしまして賛成討論とさせていただきます。


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○1番(岡田耕一) 私からは、承認第5号平成12年度豊田市一般会計決算について、反対の立場から討論いたします。

 平成12年度豊田市一般会計全体を見ますと、歳入1款市税の決算額は807億1,182万円余であり、前年度の883億5,486万円と比較いたしますと8.7パーセントの減少であります。これは個人市民税で8億348万円余、3.5パーセントの減少、法人市民税で56億2,784万円、28.3パーセントの減少等によるものです。固定資産税10億3,235万円余、3.1パーセントの減少等も含めこれらは長引く景気の低迷の影響によるものと言えます。また、平成12年度の自主財源は80.8パーセントと非常に健全性を示しているものの、財政力指数は平成9年度から年々低下し、公債費比率も同様に平成9年度から年々上昇し、安閑としていられる状況ではなくなりつつあります。

 特に、12年度は9月11日、12日にこの地方を襲った東海豪雨災害のような突発的な災害復旧費も必要となりました。このレベルの災害は決してまれなことではなく、11年度も集中豪雨により多くの被害が出ているように例外ではなくなりつつあるのです。不幸にしてこうした災害に被災しても復旧が速やかにできるかどうかは健全財政であるかどうかにかかわってきます。健全財政というのは、ただ単に数字がいいということではなく、市民にとっていかに効果的に事業を進めているのか、満足できる事業であるか、無駄遣いはないかということではないでしょうか。

 それでは、歳出について申し上げます。

 全体を通してみますと大半の事業は多くの市民にとってもおおむね理解が得られ、他市にも誇れる事業を推進していることは確かです。そうした点では直接業務を遂行しておられる市の職員の皆さんには本当に頭のさがる思いです。しかし、幾つかの事業は非常に多くの市民にとっても理解のできない事業であり、費用対効果から考えてみましても予算執行すべきでなかった事業も多くあります。

 まず、2款総務費、1項14目の土地利用調整費のうち研究開発施設用地取得費5億円であります。

 これは研究開発用地として豊田浄水特定土地区画整理事業内用地4万1,470平方メートルを12年度から16年度の債務負担行為として約24億4,000万円を限度額として取得するものですが、現段階では国も県も市も具体的に何に利用していくのか一切決まっていないようであります。使うあてもない土地をむやみに取得する必要があるのでしょうか。それより購入すべき用地ややるべき事業があったのではないでしょうか。一度取得してしまいますと、今度は何かをやらなければならないからと市民ニーズに合致しない事業を無理に推し進めていかないとも限りません。当てのない用地取得はすべきではありません。

 同じく2款総務費、7項1目監査委員費のうち外部監査費であります。

 これは包括外部監査契約に基づく監査を公認会計士に1,155万円で行ったものでありますが、計算方法として、基本費用を230万円、執務費用として監査人に1日あたり8万2,500円、監査人補佐の会計士さんに1日あたり5万1,000円の延べ116日・人という計算のようです。この報告書の中身を見ますと、監査対象部署は、旧理財部市民税課、資産税課、収納課で、報告書は表紙を除いて8ページ、内容は、検査対象選定理由や監査の方法が記され、実質的な監査結果の報告は4ページにまとめられております。法人市民税の調査の状況について1ページ、収納関係について1ページ半、領収書の管理について2分の1ページ、固定資産税、償却資産の申告状況について2分の1ページ、償却資産に対する家屋との分離課税について2分の1ページと実に簡潔にまとめられております。

 長々と報告書を書けばいいというものではありませんが、また、市財政が非常に恵まれていて指摘する事項がなかったというのかどうかわかりませんが、市民オンブズマンが全国で最低と指摘されるような、実質4ページ、1ページあたり288万円もする報告書に対して何も申し上げないわけにはいきません。13年度は契約先が変わっているようですが、次年度は全国に汚名返上できるような包括外部監査報告となるように要望しておきます。

 次は、6款農林水産費、1項2目農業総務費のうち農業公園推進費640万円余であります。

 体験型農業公園の整備について、類似施設等の調査を行い、意義、必要性、規模、採算性や効果等を調査検討した結果、決算特別委員会における報告では、建設断念となったそうであります。採算性や実現性等多くの問題を抱えたまま計画を推進し、無理に建設を進めなかったことは大英断だったと思います。しかし、結果だけを見れば、640万円を使って市民にとっては何も残っていません。11年度も農業公園推進費を同様に計上しておりました。市民にとっても最終判断の報告すらしていない経過には一言申し上げておかなければならないと思います。

 次は、7款商工費、1項2目商業振興費のうちプレミアム商品券発行等の緊急経済対策特別事業費についてです。

 プレミアム商品券発行は人気が高いのも事実ですが、多くの市民が購入したいにもかかわらず買えない状況があるというのも確かです。発行数が3億円分で上限10万円では3,000人しか買うことができません。豊田市の世帯数約12万5,000世帯から考えますと、約2パーセントの世帯しか恩恵を受けていないことになります。全市民に恩恵があるようにばらまきをしろと言っているのではなく、市民の皆さんからお預かりしている大切な税金を公平、平等に再分配すべきと言っているのです。できないのであれば、こうした事業はすべきではありません。また、短期間で消費需要の創出がされたと言われますが、ただ単に現金で買う分を商品券で買っただけです。決して新たな消費が喚起されたことではないことは地域振興券の事例が物語っております。

 それから、繰越明許費として執行されました豊田まちづくり株式会社出資金及び中心市街地緊急活性化対策貸付金合わせて51億円があります。旧そごう跡の駅西再開発ビルに松坂屋を誘致するための一連の事業ですが、決してこの51億円投入で中心市街地の活性化ができるわけではありません。根本的な市民ニーズ、商圏人口、消費の需給関係を総括しないままの執行に異を唱えておきます。

 また、今後の中心市街地の問題に対して、同様な問題が発生したとしても、慌てず、騒がず、市としては冷静に対応することを望みます。

 次に、8款土木費、5項11目の中央公園費153億7,400万円余についてです。

 153億1,200万円余は、スタジアム建設費によるものですが、中心市街地の活性化と子供たちに夢と感動を与えると称して今年の7月に豊田スタジアムがオープンしましたが、先の一般質問の答弁にもありましたが、中心市街地にお金を落としていないことが明らかになりました。豊田スタジアムの建設目的の一つでありました市街地活性化がかなわないことが実証されてしまったのです。私自身もサッカーファンの1人として瑞穂競技場によく足を運んでいましたが、私も含め周りのファンを見ても買物をするのは飲食関係だけです。全くの見込み違いだったのではないでしょうか。また、決算上は13年度ですが、近々実施の計画がされています児童・生徒のスポーツ観戦事業は、対象児童・生徒の半分しか希望者がいないという結果になったそうです。スタジアム建設自体が目的化され、完成すると今度はスタジアムの稼働率を上げることが目的化されてしまった感のある豊田スタジアム、今週末の名古屋グランパスエイト対ジュビロ磐田を観戦する予定のサッカーファンの私にとっても、この建設費用については今でも承認することができません。

 次に、豊田スタジアムを生かしたまちづくり推進費750万円であります。豊田スタジアムを生かしたまちづくりの会に11年度同様12年度も750万円もの負担金を支出し、広報活動に努め、市民意識の高揚を図ったと言っておられますが、費用対効果で考えますとスタジアム建設に疑問を持たれている多くの市民の皆さんへの理解活動は一向に進んでいないものと感じます。

 豊田スタジアムを生かしたまちづくりの会の12年度収支決算報告書を見ますと、全体の決算額約1,000万円のうち、実に4分の3を市が負担していました。事業報告を見てもメインは機関誌の発行、そして各種イベント時に横断幕やのぼりを掲げる程度で有効に750万円を使ったとは思えない内容ばかりに感じます。

 さらには、豊田スタジアム管理運営株式会社出資3,400万円についても一言申し上げなければなりません。私も民間の経営ノウハウを導入し、健全運営ができるであろうと出資には賛成いたしましたが、幻滅してしまいました。といいますのは、豊田スタジアムのオープニングイベントの一つでありましたJリーグのオールスター戦招待状の件であります。ただでさえ経営的に厳しいということがわかっているにもかかわらず、現職市議会議員全員にペアで招待券を配るというものはいかがなことでしょうか。そうしたチケットがあるのなら少しでも販売に回し経営的な努力をするのが株式会社だと思っておりました。市からの管理委託費を除いた黒字化は大変難しいと思いますが、今後こうしたことがないように一層の経営努力をしていただくことを要望し、これらを含む承認第5号平成12年度豊田市一般会計決算について反対いたします。

 以上で反対討論といたします。





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