政務調査 視察(研修会) 報告書

平成1391〜2

札幌市 北海道教育会館

基調講演
「情報公開と市民参加のまちづくり」

ニセコ町長  逢坂 誠二 さん

・参加とは皆の多様性を認識し、過程を共有すること。

・情報がないところに適切な判断は生まれない。

    「選挙で選ばれたリーダーなのに参加、参加とみんなの意見ばかり聞いているのは責任の放棄だ」という言い方をされる時があるが、議員も首長も白紙委任状をもらっているわけではない。選挙において公約全てを賛成した人もいれば1つしか賛成でなかった人もいる。こうしたことを認識し、人の意見を聞いて常にチェックすることが大切。

   逢坂町長は公約という言葉を使わず政策目標という言葉を使っている。公約全てを町民が賛成していないかもしれないから政策目標として任期中に取り組む、議論するという考えでやっている。

   市民の声の中にはあんな無駄な道路を作るくらいなら教育や福祉に使ったほうがいいという声も聞く。それが市民のまっとうな考え方だと思う。しかし、自治体の中で優先順位がつけられない現実もある。同じ分野なら可能だが、分野が違うと総合的な優先順位をつけることは必ずしも簡単ではない。そうした現実が市民参加や発言の想いを低下させているかもしれない。

   また、参加ということは大事であるけれど、例えば会社帰りのお父さんのために夜8時半からごみ収集の説明会を開くと言ってもほとんど来ないのではないか。それだけエネルギーがいるということも認識する必要がある。みんなが同じエネルギーでいられるというものではない。

   参加とは大事なことであるが、人数が多く来たからいいとかの評価をするのではなく、本当に必要だとか、これだけは言っておきたいという時に発言できる。ものが言えることを保障されることが大切である。

  平成1212月にニセコ町でニセコ町まちづくり基本条例を制定したが、その条文の1つに「参加をしたかしないかということで差別をしない」というものがある。

 壮大なことばかり言っても変わらないが、小さくても具体的なことを信念を持ってやり遂げることが大事である。

2分科会

「地域循環型エネルギーへの展望」

NPO法人「北海道グリーンファンド」

事務局長  鈴木 亨 さん

  北海道グリーンファンドは平成117月に設立されたNPO法人で現在会員は約1200名。市民型、未来型エネルギー政策を市民の手で作り出そうと活動する。泊原発3号機がなくてもエネルギーが賄えるように風力、バイオマス発電等を中心に活動する。
  欧州では電気料金に一定の自然エネルギー基金を上乗せして支払う電力会社のメニューや火力なら100円、風力なら110円というように自分の買う電気を選択できるシステムなどがある。

  北海道グリーンファンドが行っている活動の1つに節電を呼びかけその分の電気料金を自然エネルギー設立のために寄付をお願いする「グリーン電気料金運動」がある。会員は電気代の5%分を「グリーン電気料金運動」としてファンドに支払う。これは5%以前よりも電気使用を減らそうと考えることによって自然エネルギー普及と省エネによる環境負荷の軽減の一石二鳥である。北海道グリーンファンド主催の省エネ実践学習会も実施し、会員家庭の平均66%電力消費の削減という実績も。

  北海道グリーンファンドは平成138月に浜頓別町に出力1000kwの風力発電施設を設置。95日に送電線につながる。実質10日から運転。

   反原発、脱原発の市民運動をしていると直面するのが、「自分でも電気を使っているくせに」という意見。自分達で電気を選択できればこうした声もなくなる。

  浜頓別町の風力発電施設は、北海道グリーンファンドが筆頭株主になった竃k海道市民風力発電が事業主体。自己資本金2500万円、総事業費約2億円、市民出資により14000万円調達、残りは銀行融資を受ける。国からの補助金はない。

  電力量は277kwh(約900世帯分)、保守管理はトーメンパワージャパンと固定費で契約。買取単価は1195銭/1kwh17年間の買取契約を北海道電力と結ぶ。年間3300万円の売上。だんだん下げている。総売上は54000万円を想定。出資者に利益22300万円を17年後に分ける予定。今後、2号機、3号機を考えたい。

1口50万円で出資を募り、多くは札幌市民であるが、市外、道外の方もいる。

  監事10人が100万ずつ出資。模様眺めの方が大勢いたようだが、新聞の3000万円集まったという記事から順調に出資金が集まるようになった。

  今後の目標としてはグリーンラベル(証紙)をつくり、市民や企業が購入すると法定外普通税などが免税となる制度の仕組み作りをしたい。

 北海道では必要ないのだが、環境アセスは当然必要と考え実施した。