1、 病院新築に至る経緯
旧枚岡市と旧布施市にそれぞれ467床、136床の市立病院があった。
2つを統合し合計603床のうち市立総合病院に573床、救急センターに30床振り分けた。

2、 施設概要
・573床。(うちICU4床、NICU6床、HCU9床、無菌病室5床
・鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)地上9階、地下1階
・総事業費260億円、うち建設費190億円、機器40億円
・平成10年オープンで累積赤字49億円。
・11年度単年度赤字12億円。・減価償却費16億円/年間(平成11年度より計上)
・開設時15億円、年5億円
3、 事業概要
@診療科目・内科・循環器科・消化器科・呼吸器科・神経内科・精神科・小児科・外科・整形外科・脳神経外科・形成外科・眼科・泌尿器科・産婦人科・耳鼻咽喉科・皮膚科・放射線科・麻酔科・歯科・歯科口腔外科・リハビリテーション科
・ 医師77名、研修医18名、看護士(婦)351名。(H12/10.1現在)
A診療科目別患者数
・ 特筆すべきは、小児科外来数で時間内22,826名、21,826名。   
  他府県からも来られる。
日中よりも夜間のほうが忙しいことも
・ 外来患者の90.3%、入院患者の87.5%は東大阪市内の方。
・ 他府県からもそれぞれ1.5%、2.5%あり、重要な拠点病院となっている。
B年齢別患者数
・ 10歳ごとの年齢別で見ると外来では、70歳以上の20.8%、60歳台の21.9%、50歳台の17.1%と高齢者がやはり高く、10歳児未満も11.6%と高い。
・ 入院患者も同様に70歳以上の29.1%、60歳台の23.7%、50歳台の17.1%と高齢者がやはり高く、10歳児未満は、8.6%と比較的低くなる。
・ 確認しなかったが、乳幼児医療の無料制度の関係でこの割合も変わってくると思われるので確認すべきだったと反省。
Cその他・ 待ち時間短縮のために再診時は、予約票を渡し、予約制でやっている。
   時間がずれてお叱りを受けることも。
・ 10時から11時がピークで会計の(大和)銀行窓口も11時から12時がピークとなり時間がかかってしまう。
・ 開業医からの紹介は、予約。
4、 災害拠点病院としての整備状況
・ 建物の耐震性は震度7まで対応
・20m×20mのヘリポートを屋上に設置。
訓練は、今までに3回行ったが、実際はまだ1度も使っていない。
救急センターまで1分30秒

5、 病診連携
地域医療室を設け地域の医療機関との病病連携、病診連携も図っている。
こちらでは、FAXによる紹介、患者の診察・検査予約、問合せや連絡調整を行う。
H12年度の4月から10月までの実績として月平均患者数35,849人のうち紹介率は16.5%。
ちなみに前年度は14.7%。地域医療室を介しての紹介患者は、月平均154.9件。
前年度は、101.3件。

6、 高度専門医療機能の整備状況病院情報
システムとして医事システム、オーダシステムを構成している。外来部門、病棟部門、診療部門、医事部門等におかれたサーバー機とクライアント機により薬剤部門や検査部門等にオーダーする仕組みになっている。

7、 オーダリングシステムの整備状況
診療内容や臨床検査、処方など担当医からのオーダーを中心に病院内の情報全てを発生源でとらえ必要に応じて必要な形で各部門に伝えるオーダリングシステムを院内隈なくネットワーク化している。


8、 中河内救命救急センターとの連携
中河内救命救急センターから東大阪市立病院への転院はH10年度で39名、月平均3.55人。
11年度で40人、平均3.33人。
12年度は28人、平均4.0人。
東大阪市立病院から中河内救命救急センターへの転院はH10年度で16名、月平均1.45人。
11年度で13人、平均1.08人。
12年度は10人、平均1.43人。


屋上ヘリポート



こちらからエレベーターで降りる


下から眺める
9、 今後の課題
・ 未収金対策・・・約1,200万円/年間  
督促状を郵送、電話でお願い
・ 開放病床の設置  地域の医師会との話し合いで5床。
・ 駐輪場台数不足対策  200台でいいと言われていたものを250台分設置したが、現状は、委託職員の自転車通勤者も含め500台分が必要。
・ 病院には、現在、現業職員はいない。(すべて委託)

10、 前市立病院跡地利用状況
(財)開発公社へ売却。
売却資金を一般会計に繰り入れ現在は、保健所となっている。20,000uのうち14,000uは借地であった。




院長先生の説明




平成11年度統計  
大阪府立中河内救命救急センター

・ 大阪府下で9ヵ所の救命救急センターがある。
・ 東大阪市、八尾市、柏原市の3市87万人で救急センターを設置。
・ 従来は、100万人に1ヵ所であったが、これからは、緩和され30万人に1ヵ所くらいになる。(所長 談)
・ ドクターは大阪大から
・ 常勤ドクター15名、研修医(半年から1年)7名。
・ 救急がやりたいと思わなければやれない
・ 一般外来は一切診ない。
・ 当直は、常勤医師で6回/月、研修医で8〜10回/月。(2名ずつ)
・ +呼び出しもある。
・ 40代前半のドクターが主体。
・ センターの規模は延べ床面積3,448uのコンパクトな施設。
・ 集中治療室(ICU)8床、一般病棟22床(うち観察室:HCU8床)、救急初療室、手術室(2室)、CT室、血管造影宴、エックス線透視撮影(X−TV)室、磁気共鳴断層撮影(MRI)室、検査室、中央材料室、物品供給室、薬局、温浴処置室、職員エリア、さらに隣接の東大阪市立総合病院屋上にヘリコプター緊急離着陸場を有する。
・ ICUは、8時間の3交替。
・ 看護婦は、夜間3名体制(22名を3人ではきつい)
・ 日に2名は、重症患者であり、22床のうち半分の患者さんは、1週間で退院してもらわなければ現状回らない。
・ 慢性期患者の受け入れ体制が整えば病床数は、少なくてもいい。
・ 救急隊スタッフ3名のうち大体1人は、救命士が乗車。
脳神経疾患 59件 頭部外傷   88件
救急初療室


シャワー室
心臓血管疾患 62件 腹部外傷   42件
腹部疾患 51件 胸部外傷 20件
呼吸器疾患 34件
非外傷
救急患者
計367件 外傷
救急患者
計310件
2、感想
2ヶ所の市立病院を統合してH10年に完成した東大阪市立総合病院は、中に入るとホテルのような雰囲気で患者さんを受け入れる。新しく作る総合病院はこうなるのかなとちょっと考えてしまう。市民にとって医療福祉分野のシンボルでもある施設であるのでいいのかもしれないが、ちょっと過剰投資ではと。医事システム、オーダシステムについては見習うべき点がある。しかし、先日のパソコン入力ミスによる医療ミス等、最終的には、人である。隣接する府立中河内救命救急センターもうらやましい限りであるが、豊田市で考えた場合、スタッフをどのように確保するかが課題になるであろう。いい人的ルートを確立すべきである。