1、視察を終えて

今回は、公的病院である厚生連佐久総合病院、厚生連高岡病院、長浜赤十字病院を視察させていただいた。いずれの病院も600床前後で加茂病院とは同規模であり、救命救急センターの指定を受けている病院で大いに参考になった。特に行政(市、町)からの財政支援、救命救急センターの運営状況、交通手段については検討材料として多くの事例を収集できたと思う。

強いて言えば佐久総合病院は地域にここしか総合病院がないという状況であるので加茂病院とは位置付けが若干違うし、高岡病院、長浜赤十字病院は市内に市民病院があるという状況から財政支援の比較検討が若干しにくい状況であった。

それでも、隣接する市民病院がありながら健全運営をし、市からの支援をほとんど受けていないということは特筆すべきことである。新加茂病院建設、運営に関する財政支援については、あらためてしっかり議論すべきであろう。

 

2、移転先についての考察

現在、御幸地区と上野・広川地区の2候補地からの選定という状況になっているが、今回、高岡病院の視察で災害拠点病院の指定の際に鉄道高架が妨げになりヘリポートの設置が難しかったことも高岡市民病院が指定された要因の1つと聞いた。ということであれば災害拠点病院に指定されヘリポートの設置が義務付けられる新加茂病院は、3面が鉄道、高圧線に妨げられる御幸地区にした場合、大丈夫なのかとても気がかりである。また、交通アクセスについては、どの病院も鉄道利用というのがほとんどなかった。病院の入り口まで乗り入れる自家用車かバスかという状況は大いに参考にすべきであろう。

 

3、行政支援のあり方について

 現在の厚生労働省、県の医療計画の下では加茂病院に救命救急センター機能をもった施設を完備しても補助金の面で国、県からの支援はあてにできない。加茂病院、厚生連側が設置を前向きに検討しているのであれば市としては赤字分の一部として年間4〜5億円の財政支援はすべきであろう。

しかし、高額医療機器の購入補助、大規模駐車場の整備費の補助についてはもう少し議論を重ねるべきで加茂病院、厚生連側は有料駐車場等で整備費用(土地購入費)を償却すべきだと思う。加茂病院、厚生連側が駐車場整備の費用負担を求めるのであれば、市が土地を購入し、賃貸料をもらう方が良いのか、費用負担をしてでも加茂病院、厚生連側に土地を購入してもらい、固定資産税を徴収したほうが市民にとって良いのかも検討すべきである。それが難しいということであれば跡地購入と相殺する形での支援にとどめるべきである。

 市としては、候補地のどちらが選定されたとしても交通アクセス支援として駅からの15分間隔程度の100円バス等を整備する必要はあると思う。

 いずれの支援も他の医療機関に対して経営を圧迫することにないように加茂病院だけ優遇しすぎることにないようにしなければならない。