平成14年1月23日、都市計画課へ新清掃工場建設を危惧する一市民として
「豊田市新清掃工場設置に係る環境影響評価準備書」に対して意見書を提出いたしました。

新清掃工場環境影評価準備書意見書


提出者

(住所)豊田市宝来町4−758−141
(氏名)岡田 耕一

意見書提出対象の名称

豊田市新清掃工場設置に係る環境影響評価準備書

意見の概要

新清掃工場の建設規模、建設位置、建設時期及び処理方式の再考を求めるとともに新清掃工場建設時における地域住民の住環境への影響を最小限にとどめることを求める。


意見の概要の理由

1、新清掃工場の必要性
@焼却処理能力の限界について
 豊田市新清掃工場設置に係る環境影響評価準備書(以下、準備書と言う)の記述では、現在の藤岡プラントの処理能力240t/24h、渡刈清掃工場の処理能力220t/24h、あわせて460t/24hであるが、稼働率70%の現状では322t/24hとなり、これでは平成19年に処理能力を超えると予想されるとしている。
 しかしながら、環境部では今後、様々なごみ減量施策を打ち出している。16年度には容器包装リサイクル法に基づき、その他プラスチック製容器包装の分別収集の実施、その他紙製容器包装の雑紙としの集団回収の実施。家庭系生ごみの自家処理、地域処理を推進するとともに食品リサイクル法に基づく事業家庭系生ごみの再生利用等を推進し、可燃ごみとなる生ごみを削減する方向で日夜努力されている。
 これらを総合して判断すれば、平成19年に処理能力を超える事はなく、処理能力が300t/24hくらいまで低下しても平成22〜3年までごみ排出量が処理能力を超えることはないと考える。また、そういう努力を民官一体となってしていくべきである。

A施設の老朽化について
 準備書では昭和64年操業開始の藤岡プラント75t/24hX2炉がもうすでに22年経過しており寿命にさしかかっているとしている。たしかに平成19年4月で満28年となることを考慮すると藤岡プラントの150t分はそろそろ寿命と考えることもできる。
 しかし、私の調べたところによると埼玉県川口市では、平成14年12月竣工に向け建設している新清掃工場の完成後、閉鎖される戸塚環境センターは昭和51年完成の150t炉が2炉、完成されるころは満26年。同じく完成すれば閉鎖される青木環境センターは、昭和39年完成の150t炉が2炉。こちらは、満38年になります。処理能力は新設の頃と比較すると低下していますが、それでも約200t/24hの処理能力はあり、事故も問題もなく頑張って稼動いるそうで
ある。こうして考えると23年4月の時点でも稼動年数32年の藤岡プラント75t/24hX2炉もこの頃までは十分稼動できるものと思われる。

B ごみ質の変化について
 準備書では埋め立て処分場への環境負荷軽減のために硬質プラスチック、粗大ゴミの破砕残渣を焼却することを前提としてまとめられているが、本来、脱埋め立て、脱焼却を目指し、メーカーの製造者責任を明確にしてごみになるもの極力製造しない方向に向かうべきであり、実際そうなるはずである。そうであるならば硬質プラスチック等の処理を前提としてまとめるべきではない。

C最終処分場の逼迫について
 準備書では勘八最終処分場が平成18年には容量を超えるとしている。しかし、16年度実施予定の容器包装リサイクル法に基づく、その他プラスチック製容器包装の分別収集や使用可能な「粗大ゴミ」の回収、修理、販売を行う(仮称)リサイクルハウスの建設、メーカーの製造者責任によりごみになるもの極力製造しない方向に向かうこと等を考えると勘八最終処分場の延命は平成20年頃までは可能と考える。

D住環境水準の改善について
 準備書では新清掃工場建設により最新のごみ処理技術の導入で一層のダイオキシン類の排出抑制、ばいじんからの重金属類の溶出を防止し、地元住民の住環境に対する不安感を取り除く必要があるとしている。
 しかし、現行のストーカ炉にバグフィルターを取り付けた現行炉においても環境基準値を大きくクリアしている。また、導入が予定されている熱分解式ガス化溶融方式にした場合、処理温度が1300〜1400℃ほどと高温になるため今まで以上に重金属類の排出が危惧されるところである。
 「環境に対する負荷が少なく地域住民に融和できる新清掃工場を建設する必要がある。」というくだりについては全くその通りである。

2、環境施策と連動したごみ焼却規模の設定について
 現状の清掃工場の敷地面積:20,326u、工場棟面積:5,463uが新清掃工場建設により敷地面積:約39,300u、工場棟面積:7,500uと敷地面積で2倍、工場棟面積で1.5倍となる。
 準備書では各種環境施策が謳われており、最大処理能力を当初計画の450tから405tへ縮小されたとしていることは大いに評価できることである。しかし、こうした施策は市民理解があって初めて実現できることである。その点では理解活動が極めて遅々として進んでいないように感じる。これらは、平成25年度の予測人口368,200人から算出された施設規模:日量405tを基にしており、市民理解、市民参画の上で1人あたりのごみ排出量削減を徹底的に推進すれば、施設規模の縮小は可能と考える。


3、熱分解ガス化溶融方式の選定理由について
 施設更新にあたり炉型式を全連続燃焼式(熱分解式ガス化溶融方式)としているが、次世代型のこのタイプには今なお安全性、安定性、コスト面で不透明な部分が多い。

@全国的にも100t以上の炉は12年4月から稼動し始めた八女西部クリーンセンター、現在試運転中の豊橋市清掃工場の2箇所しかなく、稼動実績が少なく10年、20年という長期間使用における安全性に疑問が残る。

A新型炉のためメーカー派遣職員に運転を頼らざるを得ない部分が多いため、そうした人件費の負担とストーカ炉と比較した場合、耐用年数に疑問がある。

B排出されたスラグの安全性と使用の目途に疑問が残る。準備書では一般的なスラグの有効利用使途として、a,道路用骨材、b,コンクリート用骨材、C,コンクリート二次製品、d,盛土材、埋め戻し材等としている。利用計画も道路用骨材、コンクリート用骨材で80%、コンクリート二次製品に20%の利用を想定している。道路用骨材等に使用すると言われる溶融スラグだが、建設業界で必要とされる道路用骨材は年間約1,000万t。現在は、年間3,700万t発生している廃コンクリートの破砕物のうち約2,400万tが道路用骨材や建設資材にリサイクルされていると言われている。つまり、路盤材は廃コンクリートで十分だということである。また、リサイクルされていない1,300万tの廃コンクリートの使用先にも因っている状況を考えると、スラグを道路用骨材等に使おうというのは非現実的ではないか。また、こうした利用は開発志向の政策を前提としていることは気がかりである。また、安全性については準備書でも指摘されてはいるが、欧米に比べ甘いとされる溶出試験方法や基準など大変心配である。更には、カネミ油症問題やHIVに汚染された非加熱製剤によって血友病患者が感染された問題、狂牛病が日本で発生する危険性をEUの専門機関などから以前より指摘されていたにもかかわらず対応が後手後手になった問題等の政治家・官僚の対応を考えると今は大丈夫だと言ったところで将来にわたってスラグが本当に安全で安心して使用できるといえるのか非常に危惧される。

4、設置位置について
 建設予定地は現清掃工場に隣接する位置であり、学校、住宅地、病院等もないとして妥当という結論付けをしているが、明らかに建設位置選定は「ありき」で進められてきた。他に最良の場所がなかったのかという比較検討さえ見られないし、3号炉(90t/24h)のみになる藤岡プラントのその後が見えてこない。また、年間を通した豊田市の風向で最も多い、北北西からの風を考慮した場合、岡崎市北部への配慮、理解活動があまりに少なかったのではないか。

5、新清掃工場建設における住環境水準の改善について
 準備書によると各路線の振動、騒音等は、現状においても基準値から外れているところもある。そのため評価は非常に難しいが、新清掃工場完成度に一段と増加されるゴミ収集車の通過や工場建設の工事車両等の通過ならびに工事の際の振動、騒音については低振動・低騒音型の工事機材を使用するなどして、地域住民の住環境への影響を最小限にとどめることを求める。

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